ご挨拶

 

ようこそノハナショウブ・ネットワークIris Netのウェブページへお越しくださいました。

  ノハナショウブ Iris ensata var. spontanea は花菖蒲の原種となった自生種で、北海道から九州、さらに中国、朝鮮半島、シベリア東部に広く分布し、水辺や湿原、湿性の草原に自生するアヤメ科の多年生植物です。昭和時代に各地の自生地が天然記念物に指定され保護されてきました。しかし、生育している箇所が乾性から湿性への推移帯(エコトーン)であることが多く、微妙な環境の立地であること、さらに人里近くの草地では、開発によって生育地そのものが消失したり、草地を取り巻く人為の影響の変化によって植生が遷移したりして、ノハナショウブ個体群の衰退が認められるところも少なくありません。

ノハナショウブは花菖蒲の品種の開発にとって欠くことのできない遺伝子資源です。私たちにとっての大きな資源であると同時に、未来の私たちの子孫たちにとっても大切な資源です。その資源を守るために、各地に生育しているノハナショウブの生育地をどのように維持管理し、個体群を保全していったらよいのかという課題に取り組んでいきたいと考えています。ノハナショウブに関心をお持ちの皆さまに情報を提供するともに、皆さまからも情報を提供いただき、それらの情報を共有し、ノハナショウブの保全に関わっている方々の情報共有のプラットフォームとなることを目指しています。

 

 また、昔から花菖蒲をはじめとしたアヤメ科植物の仲間は人々に愛され、庭園に植えられ、紋様の意匠として用いられてきました。2011年の東日本大震災では、津浪の被害を受けたノハナショウブを再生させようと地域の人たちと専門家が一緒になって取り組み、震災復興の心の支えになったことが話題になりました。このような文化面での意義も発掘して、記録していきたいと考えています。

 

 まずは、各地でノハナショウブ個体群の保全に関わっている方々がお持ちの情報を共有するとともに、衰退しつつあるノハナショウブ個体群の実態を記録し、専門家のアドバイスもいただきながら、智慧をだしあって、それぞれの地域に合ったよりよい個体群維持の管理手法を見出したいと思います。ノハナショウブに関心のある方の積極的な関わりをお待ちしています。

 

 

 

 ノハナショウブ・ネットワーク

代表 原 慶太郎


設立の目的

ノハナショウブを中心にアヤメ属植物の地域個体群の保全活動を進め、そのための生態学的、園芸学的、さらには文化的な事項について情報共有を行い、保全プロトコールを作成し発信します。

メンバー

生態学、園芸学分野の研究者や特定群落の保全活動に関心のある仲間が集い活動しています。

プロジェクト

以下の地域で活動しています。
・千葉県佐倉市

・埼玉県さいたま市

過去のプロジェクト

・岩手県花巻市